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司馬遼太郎作品 オススメランキング ベスト5

僕は司馬遼太郎さんの作品が好きだ。

誤解を恐れずに言えば、司馬遼太郎さんの文章は「人をたらしこむよう」に魔性的である。

それでいて優れたストーリーテラーでもある。

読んでいると、自分さえも一角の人物になっているような甘い錯覚を抱いてしまうのである。

自己啓発書のように人生を便利にする具体的メソッドのようなものはないが、自分も何かやってやろうという熱い心は自己啓発書以上にやる気スイッチをグリグリと押されるかもしれない。

過去の英雄達が理想や立身出世を果たすべく人生に燃えたように。

 

第五位:菜の花の沖

この小説の主人公高田屋嘉兵衛は侍ではなく水のみ百姓の貧困の出であり、集落の中のマドンナを廻ってイジメを受けたりするが、そんなものには屈せず、苦心の末に船乗りの修行をして、ついに自分の船を手に入れる。

商才と誠実さで徐々に取引先を増やし、海運業者として発展を続けるサクセスストーリーだが、北海道を航路にしていたがために、船がロシアの船につかまり捕虜となってしまう。

当時は日露の関係は複雑で、今にも戦争が起こってもおかしくないほどの緊張関係にあった。

そんな中で言葉も分からない嘉兵衛は日露間の摩擦を防ぐべく、持ち前の人間性でロシア人達と信頼関係を徐々に深めていく。

高田嘉兵衛という男の受ける波乱とそれに前向きに進んでいく生き様に爽やかな気分になれなす。



 

 

第4位:新史太閤記

日本一出世をした男の物語です。豊臣秀吉はさすがに僕が説明するのは蛇足なぐらい有名な人物ですが、どのような過程を経て天下統一の手前まで登りつめたか。

信長には厳しくも可愛がられ、侍女や奥方衆には嘲笑まじりにも、遊ばれても道化に徹する心の強さ、今で言うコミュ力抜群という人物。

しかし、僕はこんな秀吉ですら自分の猿に似た外見にコンプレックスを持ち、「天下国家を目指す男がルックスの良し悪しで測られないといけないかと」誰にも打ち明けれない悲嘆を心の中で吐露するなど、人間臭い一面が凄く好きです。

時代が変わって立場が違えど人間の悩み事って変わらないんだなあと、秀吉が好きになりました。

 

 

第三位:胡蝶の夢

島倉伊之助というどちらかというと愚昧な人物がいた。

彼は今で言うADHDアスペルガー症候群のように、うまくコミュニケーションが取れず、そのことすら鼻にも引っかけない変わり者だった。

実際人に異常に嫌われるのだ。

世間の人からはもちろん、医学者の外国人教師からもなぜか嫌われる。

松本良順という医師家系の良家の子息で、伊之助とほぼ同世代の人物は、外国語習得があまり得意でない(この頃の医学はほぼオランダ語の勉強)が、誰もが避けて通る伊之助に、煌くような才能を見出す。

伊之助は日本の田舎に篭りながらに、語学学習に関しては日本史上における突然変異のような異常な才能の持ち主だった。

良順はその出自と努力から江戸幕府支持者であり明治以降は賊軍の立場にあるのだが、新政府でも腕を買われ、新政府の軍医総監を務めるようになる。

伊之助は、少しぐらい外国人同士の会話を聞く程度でマスターし、ネイティブの人間に留学経験があるのか?と尋ねられる異能の才で、良順の言わば家庭教師になる。

良順も、ともすれば人に好かれない伊之助の身の振り方を正そうと教育する。

良順は「人間が身なりを整えたり相手に礼儀作法を用いるのは、相手を傷つけずに気持ちよく過ごしてもらうために人間が作り上げたものだ。礼儀とは相手の快感のためである。」と世間の原理を説いたりする。

そのような出自も教養も身分も違う二人が、互いに立身出世していく変わった物語である。

 

 

 

第二位:花神

大村益次郎と男がいた。時代は坂本竜馬によって結ばれた薩長連合と徳川幕府を倒し、政治的パラダイムシフトを起こそうとしている時勢の中にあった

彼は終始、臨床医師であった。

今の大阪大学医学部の全身である滴塾の塾頭を務めるほどの学才の持ち主だが、生まれは山口の鋳銭司村の町医者の息子であった。

敵塾の塾頭と言えば東大を主席で卒業するようなものだが、なかなか縁が合わず、小さい藩の医師としてあまり明るくない履歴を転々とすることになる。

先の「胡蝶の夢」の伊之助のようなあまり他人と無駄話をするようなタイプではなく、「今日は暑いですね」と他愛も無い話には「夏は暑くて当然です」という口数の少ない人物だった。

時は幕末で、西洋の医学はもちろん銃火器や大砲、近代戦の兵術など外国直輸入の新しい文化が流入し始めた頃、彼の命運は大きく変わる。

益次郎も語学も卓越したものを持っていたが、さらに大砲の設計など工学にも明るく、戦における戦術家としてもこなせる才人だった。

外国語に精通している人材が全国的に登用される世になるが、大村はけして自分が望んだわけでもないのに一介の医師が、今をときめく薩長の対幕府軍の最高司令官まで担ぎ上げられるのだ。

その戦場における戦術眼は魔法のようにあざやかで、司令部で実際の戦場の様子すをみずに、戦況を予想し、それがことごとく的中するのだ。

優れた医師を目指しながら、軍人の最高司令官になるという数奇な運命の男。

大村益次郎の人生は男として憧れ、単純に格好良い!

 

 

第1位坂の上の雲

これは僕にとっては青春モノの傑作として位置づけている。

日露戦争を軸に話が進むのだが、主人公は愛媛の貧乏な一家の兄弟が陸軍と海軍の中心的人物として、運命にながされるままに教員や学者志望から、軍人へと職業を変更し、ロシアを破る中枢の人物として成長していく物語だ。

明治になってまもなく、異常なまでに世界の一等国にコンプレックスを抱いた日本は法律や警察機構、軍隊などで欧州の国と肩を並べたかった、田舎者として見られたくないプライドが、日本と言う新体制になって、国民皆で奮闘するという、日本という国の青春を描いた側面もある。

 

海軍の頭脳である秋山真之は同級生に歌人正岡子規がいた。真之も子規も兄の好古も生計の道を立て、さらに日本一の何かになりたいと言う当時の若者が抱いた立身出世を目指し勉学に勤しみ、時に激しく遊び、東大生ながらも書生と言う漠然と何をしたら良いかわからない身分で、自分の将来を激しく悩み模索する。

 

他にも児玉源太郎大山巌明石元二郎・乃木稀助・陸奥宗光などそうそうたる傑物が、ロシアという日本よりも金持ちで兵力も数倍あり喧嘩の強さだけで欧州国と対等に渡り合うジャイアンのような強い国に、ドラえもんのいないのび太がどうすれば国を守れるか。

立ちはだかり襲い掛かってくるな強大なものに、それ以上の覇気を持って圧倒的不利を覆そうとするのは、元帥まで登りつめるような首脳陣も、氷点下の中戦場の最前線を不眠不休で戦う名もない兵士も、皆が死力を尽くしている様は、自分もこのような気概を持たないといけないと人生観を変えられた一冊です。

僕は個人的に秋山好古という兄弟のお兄ちゃんが大好きです。

「自分は軍人として一個の機能になろうとしている」「自分は単純であろうとしている」など自己教育の末に軍人として徹底的なメンタルを確立しながらも、戦場でも平時でも酒を飲みながら(けしてぐでぐでに酔っ払うことなく)危機的な状況を回避するため、砲弾や鉄砲の弾が飛び交う場所で酒を飲んで思案するというユニークな人物です。

坂の上の雲は文庫本8冊ぐらいで、ボリュームはかなりありますが、寝食を忘れて読むほど面白く、読後は熱い志が胸に宿る、人生の一冊になるでしょう。